※あくまで勉強会の報告書ですので,間違った解釈が含まれる可能性があります.また,形式は統一していないことをご承知おきください.内容に関するコメントなどは是非事務局までお願いいたします.

 

また、本報告書は基本的に「野田泰一・西川輝昭(編集:2005)国際動物命名規約第4版(日本語版)」と「大久保 憲秀 (2006) 『動物学名の仕組み 国際動物命名規約第4版の読み方』」を参照しています。その他の引用文献はページ末に付してあります.

 

2011年6月5-6日

第3回命名規約輪読会

伊勢戸 徹

 

条38. 科階級群間の同名関係.

→条39 を見よ

→条55 を見よ

 

条39. タイプ属の学名の同名関係もしくは抑制に基づいた無効性.

 

伊勢戸解釈:タイプ属の学名が(新参ホモニムや抑制が理由で)無効なら、それに由来する科階級群の学名も無効になる。その場合、次に古い適格な属名に基づいた科階級群名に変更するか、タイプ属の新たに与えられた有効名に基づいた科階級群名に変更する。

 

条40. タイプ属の異名関係.

 

40.1 科階級群名の有効性は影響を受けない

伊勢戸解釈:科階級群の学名のもとになっているタイプ属の学名が新参シノニムだと分かっても、科階級群の学名を修正する必要はない。

 

40.2 1961 年よりも前に置換された学名

伊勢戸解釈:でも、命名規約の第1版が出版されるよりも前に修正されていて、それが慣用されていたなら、その修正は認める。

 

40.2.1.

伊勢戸解釈:修正を認められて維持されている科階級群名はその科を作った人が著者となるが、その名前の元になる属名が設立された年からあったもの、つまり古参シノニムであると考える。

 

勧告40A. 著者と日付の引用

伊勢戸解釈:その場合の著者と日付の付け方については、かなりへんなことになる。その科階級群名をつくった著者と年を引用した後に、その名前の元になる属名が設立された年を括弧をつけて添える。

例)Thaumaleidae Bezzi, 1913 (1847)

(参考)勧告22A.2.3 にはCtenotus alacer Storr, 1970 (“1969”)という例が示されている。これは本当は1970 年に発表されたが、紙面には1969 と書かれている場合の表記方法である。

 

<参考>-----------------------------------------------------------------------

55.科階級群名

 

55.1 同名関係の原理の適用

科階級群の名前は唯一無二でないとけない

 

55.2 同じ綴りの属名に由来する同名関係。

→条39 を見よ

 

55.3 類似した属名に由来する同名関係

伊勢戸解釈:類似した属名から同じ科名が作られてしまうことがある。その場合は審議会に付託しなければならない。ただし、古参同名が遺失名であることが分かった場合は、その元になった属名を元に語幹を選び直して同名にならない科名を作り直せばよい。

 

伊勢戸の疑問:古参同名が遺失名でない場合も新参同名の方を遺失名とするように決めてしまえばいいのに…(一定の頻度を使われていなければそうすればいいと「動物学名の仕組み」にも書いてある)。

 

55.41文字違い 一文字だけの違いでも同名ではない

 

一文字でも違えば別の名前です